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経営人事コラム

2011年05月のコラム

評価制度の意義
2011/05/25

評価制度に悩んでいる会社は多いものです。
「評価制度を切り替えたが、職場の仕事は何も変わらない」
このような経営幹部の声をよく耳にします。コンピテンシー評価基準の導入や
業績達成度の評価指標の構築など、世の中で評判の良い制度を取り入れたが、
仕事も変わらなければ、人材も育たないというのです。
もし、会社の中でこのような現象が起きていたら、何のための評価制度改定で
あったのか、その目的から再考しなければなりません。

評価制度のねらいは何か。
「問題点を突きとめ、効率の上がる仕事の進め方を考えるようになってきた」
「顧客の声を受け止め、信頼関係を深める提案活動ができるようになってきた」
「コスト意識が芽生え、製造工程のムダ取り活動に対しチーム一丸で取り組ん
でいる」
現場最前線のいたるところでこのような変化が起きてくると評価制度を変えて
効果があったといえるでしょう。ところが実際は、例えば「企画力・行動力」
という能力評価基準を、「課題形成・問題解決力」という表現に切り替えコン
ピテンシー基準にしたなど、両方を比べてみても"抽象的"であり、あまり代
わり映えのしない程度の制度改定に多くの時間と労力を割いてきた会社が多い
ようです。

弊社に寄せられる相談の中でも、「導入した制度が悪かった。再び新しい評価
制度に切り替えようと思っている...」というものは少なくありません。
しかし、そう判断する前に、今一度再考していただきたいことがあります。
評価制度改定の前にマネジメントを機能させる取り組みを行ったかどうか。
つまり、評価制度を活用できるほどに管理職のマネジメント力を鍛えることが
本当の解決策ではなかったかということです。

マネジメントとは、仕事を組み立て、仕事を通して人材を育成することです。
評価制度改定の本当のねらいは、マネジメントの仕組みを転換し、管理職の
力量を磨くことであるという再認識が必要です。

本来、評価制度はマネジメント活動そのものであると捉えるべきです。
ところが、当事者である管理職には、そのマネジメントとは何であるかが理解
されないまま、評価制度の崩壊現象がはじまっているように見えます。現場の
問題を安易にも「コミュニケーションのあり方」にすり替え、モチベーション
の上げ方手法で目先を変えても、残念ながら経営人事の本質とも言える評価制
度を活用したマネジメントの確立という本筋からかけ離れるばかりです。

マネジメントとは「仕事変革の構造化(組み立て)」と「その仕事を通した
人材育成」であると書きました。つまり、組織メンバーの誰にどの仕事を分担し、
職場においてどのような変化を生み出すのか。仕事の効率化、顧客から信頼を
得る提案、コスト意識をもって工程を改善する仕事など、問題解決と人材活用・
育成を通して、職場のありたい姿を実現させるのです。このような管理職のマネ
ジメント活動があってこそ、組織の力で企業の成長を実現できるのです。

さて問題は、評価制度です。評価制度はマネジメントそのものであるべきであり、
「仕事と人材の課題」を顕在化させ、問題解決に取り組む仕組みこそが評価制度
だといえるのです。マネジメント行動を管理職の行動様式に叩き込み、仕事の組
み立てと人材の指導方法を切り替える取り組みこそ、評価制度を機能させるにお
いて求められるものなのです。

もう一つの問題は、これも最近の潮流なのかもしれませんが、世の中の管理職研修
の大半は、コミュニケーションとモチベーション向上に関するテーマばかりです。
マネジメントと正面から立ち向かうことを避け脇道を迂回する手法ばかりです。
インターネットで検索しても、部下との接点の取り方を教える講座はあっても、
マネジメントの本質を学習する講座は見当たらないのが現実です。コミュニケーシ
ョンとモチベーションは大事であることは確かですが、マネジメントを機能させる
経営人事テーマの学習講座が見当たらないのです。

本来、マネジメントの学習講座では、業績とは何で、事業経営をどのように捉え、
仕事と人材に一定の方向感を与える手法を学習することが求められます。それは
事例研究でもなく、自社の事業経営であり、自分の職場の仕事であり、チームメン
バーの育成と指導そのものを考えることが何より一番のマネジメントの学習です。
マネジメントは学問ではなく実務であるべきです。経営の実践を通してしか身につ
かない経営スキルだといえます。そう考えると「評価制度」とは、マネジメント力
を鍛え、マネジメントを学ぶ格好の材料であり、経営の実践そのものであるといえ
るのです。

経営幹部の皆さん、おそらく皆さんの会社でも評価制度が運営されているはずです。
仕事の構造化と人材育成を推進するマネジメントツールとしての機能を果たしてます
でしょうか。また、評価制度の運用そのものが管理職のマネジメント力量を鍛える
機会となっているでしょうか。再度、現場最前線の総点検をお願いします。
「マネジメントが先、評価制度がアト」― この原則で見直して下さい。
自社のマネジメントの見直しポイント(仕事の組み立ての問題点・人材育成の問題点)
を捉えて後に評価制度に手を加えてこそ、経営人事の視界が広がります。
評価制度改定は、組織マネジメントのあり方をじっくり考える機会としてください。
経営幹部が熟考するテーマです。

弊社、人材パワーアップコンサルティングでは、評価の仕組みを活用した「マネジ
メント力向上研修」に取り組んでいます。業績を起点に考え、仕事の再構築と人材
育成のプロセスを見直す学習プログラムです。多くの企業のマネジメントの実践プ
ロセスから作り出した弊社オリジナルの学習プログラムです。管理職の育成にお役
立ていただけると幸いです。

競争力ある組織
2011/05/02

活力ある組織の姿を"自律的で公正な"と表現する企業が多いようです。
しかし、自律的で公正な組織とは一見、理想的ではあるけれども、怠惰な行動
に流れやすいものです。例えば、規律の枠がなく危機感が不足し惰性に流れる
ケースや、組織の統一感がなく個々人が勝手な行動に出るため組織パワーを
発揮できないケースなどがあります。

若くて闊達な組織ほど、追い風に乗ると勢いつくものですが、環境が悪化し
行動の結果が出なくなるとすぐに「モチベーションが上がらない...」などと
気弱な不満が出てくる組織は後者のタイプです。
"自律的で公正な"とはなかなか難しいもので、公正を求め平等であることが
重視されるあまり、悪平等へ流れる危険性を持っています。

こういう点からも、組織と人事の領域は、経営幹部の悩み深きテーマだとも
いえます。客観的指標というモノサシが無く、他社事例が共通の解決策になり
にくい点も組織人事課題を不可解なテーマとする原因になっています。


誤解を恐れずに言えば、適度な「競争」は組織に自律的で前向きな個々の動き
を促します。また、適度な「格差」は停滞を打破しメンバーの納得感を生みます。
これらのねらいから、組織人事プログラムにおいて、社内序列に「競争原理」を
導入し、人事処遇において「格差」を設けるという手を打つことになるのです。

そして、これは程度の問題ですが、作用と反作用はあらゆる制度改革につきも
ので、例えば成果主義人事の弊害などという反作用論調が高まり、モチベーション
重視などというふわふわした論調が幅を利かすのです。

ここで認識すべきは、"基幹システム"と"運用システム"というレベルの違いを
認識しておくことです。規律を設け競争を促し納得感ある格差を設けるというのは
高度な経営レベルの基幹システムです。コミュニケーション手法の改善によるモチ
ベーション向上とは運用システムであり、一線を画して考える必要があります。


人事制度は"基幹システム"と位置づけ、自社に適度な競争環境を整えることが
求められます。活力は怠惰で悪平等の環境からは決して生まれません。もちろん、
"運用システム"としてのマネジメント手法においてメンバーの意欲を高める工夫
は欠かせないことも確かです。ここを切り分けて考えない限り、経営人事の深い
悩みに対して視界が広がる解決策を期待することはできません。

「競争と格差の適切度たるものがわからないから悩ましい」のだと思いますが、
私はこの「会社づくりの根底の課題」を人事諸制度にどう織り込むか、その試行錯
誤が活力ある組織づくりそのものであると考えています。

そうすると経営人事の仕組みは、各社独自のあり方でなければならないという点も
理解できると思います。一見、同じような等級昇格制度、評価制度、給与・賞与制
度に見える仕組みも、何をもって競争させるのか、それはどの程度か、そこからど
うやって格差を導くのか、そもそも納得感はどこから生まれるのか。
これらの視点から再考すると、自ずと人事諸制度に独自性が生まれてきます。


私は経営人事コンサルティングのプロセスで、競争と格差と組織活力について経営
幹部と徹底的に議論するところから手をつけます。そこから生まれる等級定義、
昇格スピード、上がれる人数と上がれない人数の根拠と程度、それを判定する評価
基準こそ組織の活力を決定づけるものになるからです。

「他社が導入したから成果型にする」、「人材育成重視と世の中で言われているか
ら切り替える」など、人事制度を変える理由とプロセスがモノマネ型であった場合、
「結局、自社に合わず上手くいかなかった」という声をよく聞きます。組織の活力
とは何であるのかを突き詰める必要性を感じるところです。

経営幹部の皆さん、等級昇格制度は人材の成長にインパクトを与える仕組みとなっ
ているでしょうか。
評価制度は、仕事の目標となり仕事のやりがいを生み出す効果を生んでいるでしょ
うか。
給与・賞与制度は適度な格差があり、増えても減っても納得感ある活用ができて
いるでしょうか。

これらは、力強く活力ある組織を維持し高めるために、熟慮する経営人事のテーマです。

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